東京弁護士会・非弁提携弁護士対策本部の委員会ブログ(5)

呰(あざ)真希弁護士を迎えました

 

当事務所は、このたび、呰真希弁護士を迎えました。
呰弁護士は、国内一般民事・家事・倒産処理の豊富な実務経験を有するのみならず、さまざまな弁護士会務に精通している実力者です。
2021年、石本が監修した、東京弁護士会法友会編「実践 弁護士業務広告Q&A」の執筆を担当した縁で、今回メンバーに加わることとなりました。同弁護士の加入により、当事務所における事件処理が、より盤石なものになるかと存じます。
 今後とも、倍旧のご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

中村規代実弁護士独立

 

当事務所で2008年から約14年間にわたり活躍してきた中村規代実弁護士が、2022年5月から独立し、以下の事務所で執務することになりました。
オリゾン法律事務所(Horizon Law Office)
〒107-0052 東京都港区赤坂1-3-18 コカドビル3F
電 話 03-6277-6333
FAX 03-6277-6334
皆様におかれましては、当事務所同様、中村弁護士のことも、温かく見守っていただければ幸いです。

ハラスメント研修の勘所

 

企業、特に上場企業にとって、子会社を含めた役職員のセクシュアル・ハラスメントやパワー・ハラスメントによる、従業員等の自殺や労働事件の発生は、株価に影響を与えるだけでなく、役員の対会社責任・第三者責任等の問題を生ずる場合がある上、大きな風評被害を発生させ、「ブラック企業」のレッテルを張られて求人活動にも多大な影響を及ぼすといった恐ろしい結果を発生させます。

 大きな不祥事を防止するには、まずは、内部通報による問題事象の早期発見・早期駆除・信賞必罰の体制を整えることによる重大化の抑止と、効果的な研修によるハラスメント予防の2つの対策が有用です。

そのせいか、最近、企業、特に上場会社において、ハラスメント防止のための研修が、盛んにおこなわれています。

もっとも、この種の研修も、よく工夫をしないと、形式的に法律や厚労省の指針等を紹介しつつ、メリハリもなく「あれはダメ、これはダメ」を列挙し、最後に裁判例等を紹介するというありがちなパターンに陥ります。このような研修では、受講者は、往々にして「わかっているよ、そんなこと。今までと同じじゃないの。」感じてしまい、まったく「気づき」が生まれず、ハラスメント防止に役立ちません。

市販されているビデオ研修素材のなかには、厚労省指針と明らかに異なる内容を講義しているもの(例:「パワハラに該当するか否かの基準も、セクハラと同様、被害者がどう思ったかである。被害者が苦痛を感じればパワハラだ。」)があり、従業員に誤解を植え付けている場合が散見されます。高名な学者や弁護士が監修者に名を連ねているからといって無条件で信用するのも危険です。

 内部通報窓口への通報を契機として、問題を起こした役職員を実際に事情聴取してみると、加害者となる人には、以下のような傾向が顕著にみられると思います。

1 会社員としてこれまで比較的順調に過ごしてきて、経営不振や上司や部下の不祥事の発生といった危機を経験していない。
2 「これまで問題なくやってきたから、今まで通りで大丈夫」、「セクハラは、被害者が『嫌。』と言わなければ問題ない。」、といった誤解に陥っている。
3 ハラスメントについての研修を受けていないか、受けていても問題意識が希薄。
4 ハラスメントが企業に与える重大なダメージや責任について説明すると、きちんと理解できる(「時すでに遅し」であるが)。

効果的な研修を受け、「気づき」があれば、不祥事を避けられたのではないかと思われる場合が大半です。

必要なのは、受講者が自ら聞こうという気になり、「気づき」が得られるような研修です。そのためには、聞き手が実感を持って聞けるような具体例を紹介する必要があります。そして、受講者の属する会社の文化や取扱業務、これまでにハラスメントが問題になったことはあるか、役員や従業員がハラスメントについてどのような問題意識を持っているかといった点をきちんと取材して、研修を組み立てる必要があります。

役職員に対する充実したハラスメント研修は、今の企業に不可欠です。

好きな映画

 

当事務所弁護士に、各自の好きな映画を聞いてみました。

石本  新幹線大爆破(1975東映)
    八甲田山(1977東宝)
    アマデウス(1984米)

大瀧  スタンド・バイ・ミー(1986米)
    ニュー・シネマ・パラダイス(1988伊)
    モーターサイクル・ダイアリーズ(2004アルゼンチン他)

中村  遠い夜明け(1987英)
    レ・ミゼラブル(2012米)
    ジュラシック・パーク(1993米)

菊地  ユージュアル・サスぺクツ(1995米)
    ドライビングMissデイジー(1989米)
    プロジェクトA(1983香港)

吉田  摩天楼はバラ色に(1987米)
    テルマエ・ロマエⅠ・Ⅱ(2012・2014東宝)
    海猿シリーズ(2004~2012東宝)

【書評】 東京弁護士会 法友会 「死後事務委任契約 実務マニュアル」(新日本法規出版㈱)

 

https://www.sn-hoki.co.jp/shop/item/5100161

東京弁護士会内の最大会派、法友会会員有志が編集・執筆した、死後事務委任契約に関する専門家のための実務書。

「遺言者や任意後見契約・財産管理契約の委任者が、その死後、好みの葬儀や埋葬方法を希望する場合」、「相続人が海外等遠方に居住していたり、相続人と疎遠だったりして、本人死亡時に円滑迅速な葬儀の手配や火葬・埋葬が難しい場合」などに、この「死後事務委任契約」の締結が検討されます。ところが、この分野は法に明文の規定がなく、判例の蓄積も、議論も尽くされているとはいえません。ニーズがありながら難しいところにオール弁護士で切り込んだのがこの本です。

委任者の死亡を委任契約の終了事由と規定する民法653条1号に始まり、相続人の意向との関係、相続人が存在する場合と存在しない場合とで異なる受任者の立場、委任事務処理報酬の確保等々難しくて微妙な論点について、この本では、悩みを見せつつ論じています。

遺言、任意後見契約、財産管理契約でカバーできない死後事務について、依頼者の意向に寄り添う際に参考になる一冊です。

【書評】 東京弁護士会 LGBT法務研究部「改訂版 LGBT法律相談対応ガイド」(第一法規㈱)

 

https://www.daiichihoki.co.jp/store/products/detail/104119.html

東京弁護士会の弁護士研修センター運営委員会内のLGBT法務研究部に所属する弁護士による、法律実務家向け性的マイノリティにまつわる法律問題に関する解説書。

2017年2月に初版が刊行されて好評を博していたところ、その後約4年間の自治体対応を中心とする社会の急激な変化や裁判例の集積を受け、2021年3月に改訂版が発行されました。

本書の特色は、なんといっても、初版の編集後記で五島丈裕弁護士が、「現時点で客観的に考えられる解釈の1つを示すものであり、その内容や表現においては、できる限りニュートラルであるように心がけました」と記すように、穏当かつ受け入れやすい内容であるということにあります。

このため、企業研修では、本書が参考書に最適であると考えられ、当事務所弁護士が行うLGBT研修では、いつも本書を紹介しています。実務家向けというふれこみですが、Q&A方式で構成され、平易な文章で書かれているため、企業のコンプライアンス担当者なら、難なく理解できると思います。

なお、東京弁護士会性の平等に関する委員会所属委員の執筆による、弁護士向けのLGBTをめぐる最新の裁判例研究としては、東京弁護士会「LIBRA」2021年1-2月合併号に「LGBT第2弾 近時の動向を裁判例から読み解く」があります。
https://www.toben.or.jp/message/libra/pdf/2021_0102/p04-22.pdf

こちらは、性的マイノリティの人権擁護という視点からの専門性の高い記事となっています。

プロボクシング全日本新人王決定戦2020

 

プロボクシング全日本新人王決定戦は、各階級をトーナメント戦で勝ち上がった東軍代表(東日本新人王)と西軍代表の対戦です。この全日本新人王決定戦で勝つと、日本ランキング(=日本チャンピオンに挑戦する資格)が与えられます。このため、出場選手たちのモチベーションがとても高く、各階級で手に汗握る熱戦が繰り広げられることから、例年とても人気があります。

2020年度は、コロナ禍のため、年末に行われる予定だったのが遅れ、年明けの2021年2月21日に東京のボクシングの聖地、後楽園ホールにおいて無観客で行われました。

今回の注目カードは、スーパーフライ級の久保春平選手(宮田ジム=東軍)対杉本太一選手(勝輝ジム=西軍)。久保選手は、東日本新人王決定戦で、第2ラウンドでダウンを奪われたものの、第3ラウンドでダウンを取り返し、逆転TKO勝利を挙げて東日本新人王MVPに輝いた期待の選手。

全日本新人王の試合の方は、第3ラウンドまでは激しい打ち合いの連続であったものの、体力に勝る久保選手が、優勢に試合を進行させて迎えた第4ラウンド、チャンスにパンチをまとめ、2分29秒TKO勝利をあげました。それまで、気力でパンチを凌いでいた杉本選手は、ダメージの蓄積もあったのか、レフェリーストップの声を聞いて後ろ向きに倒れそうになりました。これを見た久保陣営宮田ジムのセコンドは、久保選手の祝福をするのではなく、杉本選手のもとに駆け寄り、リングで頭を打たないように、背中を支えました。杉本選手は、頭をリングに打ちつけることによる重篤なダメージを受けずに済みました。

スポーツの指導者は、広い視野から、自チーム相手チームを問わず安全確保を第一にはかるべき立場ではありますが、勝負へのこだわりもあり、現実にそれを実行するのは容易ではありません。一歩間違えば、命に係わる危険なスポーツでありながら、1対1の格闘技であるボクシングではなおさらです。

超私的な2020年度の全日本新人王決定戦MVPは、この宮田ジムのトレーナーさんです。

web会議システム

 

新型コロナウイルス感染症に係る緊急事態宣言後、当事務所においても、web会議システムの利用が日常的になりました。上場会社の取締役会をはじめ、弁護士会の委員会や会派の会議、依頼者様との打ち合わせや事務所会議の一部がMicrosoft Teams、Zoomといったweb会議システムで行われています。

web会議システムは、自宅や事務所から会議に参加できるツールとして、とても便利であるとともに、感染症対策としても有効です。ただ、その有用性には限界もあります。

1 参加者が遠方から集まって開催していた会議は、移動時間とコストを劇的に抑えるメリットがあります。
2 参加者の理解度が高く共通の価値観を有している場合、文書の画面共有機能を使うことにより、会議室に集まるよりも効率的な意見交換や文書作成が可能になります。特に、契約書等文書の起案や修正の場合、ディスプレーに文書の加除訂正の経緯がリアルタイムで表示されるので、極めて能率的です。
3 これらに対し、身分関係や個人の債務整理事件の場合、耳の痛い話に対しては、参加者が事実上そっぽを向くことが容易なので、うわべの説明の裏にある真相に迫るのが困難です。また、説明に対する理解の程度の確認も、空気感が伝わりにくいので心証に自信が持てません。身分関係事件や債務整理事件に関し、web会議は面談にかないません。

顧問先の皆様におかれましても、従前どおりの電話や面談による相談に加え、web会議システムによる打ち合わせや法律相談が可能ですので、適宜その利用をご検討いただければ幸いです。

内部通報は会社を救う

 

内部通報制度は、役職員等が勤務先に設けられた社内窓口や勤務先が委託した社外窓口などに対し、勤務先で生じている問題を通報できる制度です。

東京証券取引所は2015年6月、コーポレートガバナンスコードを制定し、上場会社は内部通報にかかる適切な体制整備を行うべきであると規定しました(原則2-5)。

その後、消費者庁は2016年12月、「公益通報者保護法を踏まえた内部通報制度の整備・運用に関する民間事業者向けガイドライン」を発表し、各社社内における制度設計の指針を示し、通報窓口拡充のため、法律事務所や民間の専門機関等への委託を推奨しました。

そのせいか、最近、内部通報窓口担当の依頼が増えています。

内部通報制度をうまく機能させれば、不祥事拡大を未然に防止し、会社を守ることができます。

例えば、子会社役員が、女性社員にセクハラ・パワハラを繰り返したため体調不良をきたし、退職を考えた場合、内部通報をしないとすると、労政事務所や労働基準監督署で被害を訴えたり、退職して損害賠償請求の訴えを提起することが考えられます。また、被害者が新入社員の場合は、出身校の就職担当に相談することもあり得ます。そして、ハラスメントの事実が大々的に報道された場合には、当該子会社は、「ブラック企業」のレッテルを貼られ、求人活動に著しい困難をきたすばかりか、親会社が上場企業であった場合は、子会社管理義務違反を問われて株価が下落し、親会社役員の責任が追及されることにもなりかねません。

被害者がその被害が深刻になる前に内部通報窓口に相談してくれれば、それに対応して、内部通報担当自ら、または調査委員会を立ち上げて、ハラスメント等の違法事実の有無について調査をすることが可能です。その結果、ハラスメント有りと認定すれば、当該子会社に対し通報者(被害者)に対する不利益処分禁止を厳命したうえで、加害者(役員)に対するハラスメント禁止措置とその処分を求めることができます。不祥事が拡大して、会社に甚大な打撃を与える前にその芽を摘むことができるのです。

もっとも、実際に内部通報制度を機能させるのは容易なことではありません。

というのも、通報者は、内部通報を理由として解雇や報復人事を受けるのではないかという危惧を捨てきれないのが実情だからです。その心配をさせないようにするには、最低でも以下のような対応が必要です。

通報者に対する解雇・報復人事その他の不利益取り扱いの禁止、通報にかかる秘密保持の徹底
規則化して経営幹部に徹底します。
外部窓口を含む複数系統の窓口設置
社内一系統だけの窓口の場合、担当者自身が実は加害者・違反者だったというケースに対応できません。笑い話のようですが、少なからず散見されます。
社内広報の徹底
内部通報窓口の連絡先と、通報による不利益取扱をしない旨を徹底して社内広報し周知を図ることが必要です。
迅速な調査・是正措置の体制確立
せっかく通報を受けたのに対応が遅れたのでは、問題が拡大し、会社を守ることができません。調査は、関係者からのヒヤリングが中心になります。弁護士は日頃から業務としていますが、一般社員が対応するのは難しい場合があります。

これまで、内部通報や内部告発は、仲間を裏切る行為であるとして、ともすると、通報者に対し、解雇や「追い出し部屋送り」等の報復人事が行われがちでした。しかし、これが最もいけません。敗訴リスクが大きく、手続終了後も会社の評判を落とし続けます。

内部通報制度は、経営トップが、内部通報は会社を守るものであって裏切りではないということを徹底し、社内でリーダーシップを発揮してこそ機能するものだと考えます。

なお、特定の役職員を陥れる等不正目的をもってなされる虚偽の内部通報もないとは言えません。このような不適切な内部通報がなされた場合の通報者の処遇について、消費者庁のガイドラインには言及がありません。公益通報者保護法の保護要件該当性と懲戒処分等の有効性に関する一般法理に照らし、個別に判断して慎重に決することになります。


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