【書評】 東京弁護士会 法友会 「死後事務委任契約 実務マニュアル」(新日本法規出版㈱)

 

https://www.sn-hoki.co.jp/shop/item/5100161

東京弁護士会内の最大会派、法友会会員有志が編集・執筆した、死後事務委任契約に関する専門家のための実務書。

「遺言者や任意後見契約・財産管理契約の委任者が、その死後、好みの葬儀や埋葬方法を希望する場合」、「相続人が海外等遠方に居住していたり、相続人と疎遠だったりして、本人死亡時に円滑迅速な葬儀の手配や火葬・埋葬が難しい場合」などに、この「死後事務委任契約」の締結が検討されます。ところが、この分野は法に明文の規定がなく、判例の蓄積も、議論も尽くされているとはいえません。ニーズがありながら難しいところにオール弁護士で切り込んだのがこの本です。

委任者の死亡を委任契約の終了事由と規定する民法653条1号に始まり、相続人の意向との関係、相続人が存在する場合と存在しない場合とで異なる受任者の立場、委任事務処理報酬の確保等々難しくて微妙な論点について、この本では、悩みを見せつつ論じています。

遺言、任意後見契約、財産管理契約でカバーできない死後事務について、依頼者の意向に寄り添う際に参考になる一冊です。

loading
×