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当事務所所蔵の絵画(5)

 

大会議室にポップな雰囲気を与えてくれているのが、グラフィックデザイナー駒形克己さんの紙細工、「ポップ・スコープ」と「ナイン・スコープ」です。

2005年 ポップ・スコープ「ハシブトインコ」
2005年 ポップ・スコープ「オオオオハシ」
2005年 ナイン・スコープ「ひまわり」

ヴィヴィッドな色使いで、会議室がぱっと明るくなります。

当事務所所蔵の絵画(4)

 

厳密には絵画ではありませんが、当事務所の表札をご紹介します。

2011年 ヨシノ精機作

当事務所が、旧鉄鋼ビルの取壊しに伴い大手町の日本ビルに移転した際、横浜のカッティング専門業者、ヨシノ精機さんに1年の歳月をかけて木の選定からカッティングまですべてをお任せして作ってもらいました。

当初は、全体が白木のように見えていましたが、時間の経過とともに木の渋が染み出してきて木目や字がはっきりとわかるようになってきました。木という素材の素晴らしさを感じます。

当事務所所蔵の絵画(3)

 

事務所エントランスホールに展示しているのは、ドイツ生まれの工業デザイナー、ヨルグ・イゼック制作のシルクスクリーン「キラダ・ペン」です。

そのデザインの一部が、「キラダ」という個性的な腕時計の文字盤に使われているほか、そこに描かれている「キラダ・ペン」というボールペンが、第1小会議室に備え付けられています。

当事務所所蔵の絵画(2)

 

当事務所開設当初から、会議室を飾ってくれているのが、小田隆画伯に描いていただいた魚の絵たちです。

2000年 ホオジロザメ
2000年 カレイ
2000年 シロギス
2000年 シロギス(スケッチ)

現在は、全部第1小会議室で展示しています。
サメの絵は、大きくて圧倒的な迫力があります。カレイの方は、海底で擬態しているところを描いたもので、一見すると抽象画のように見える面白い作品。シロギスは、完成画とスケッチ。完成画は海のきれいな青色とあいまって躍動感あふれるもの。ロットリングで描かれたスケッチは、その精密さに驚かされます。

 

当事務所所蔵の絵画(1)

 

当事務所所蔵の絵画などを紹介してゆきます。
まずは、第2小会議室に展示している、薦田梓(こもだあずさ)画伯の日本画3点です。

2009年 「海百合」
2011年 「永遠‐towa‐」
2014年 「Starting of all」

静けさの中にある気高さを表現した作品たちです。当事務所においでになる方の心に潤いを届けたいと描いていただきました。

遺言による遺言執行者の指定

 

公正証書遺言をするとき、公証人から、遺言執行者の指定を勧められることが多いと思います。遺言者が死亡した場合、遺言執行者がいれば、遺言の執行が円滑に進みます。金融機関によっては、遺言執行者が預金の払戻手続を単独でした場合も窓口で対応してくれるところがあり、便利な一面もあります。もっとも、法理論的にみると、不動産の移転登記や預金の解約は、本来遺言執行者がいなくてもできる手続きであり、遺言執行者の報酬分だけ遺産が目減りするというデメリットもあります。

遺言執行者を指定するとして、誰を遺言執行者とするかも問題です。

遺言の作成に関与し、証人となった弁護士を遺言執行者に指定する場合も多くあります。遺言者や、遺言作成を推進してきた推定相続人としては、なじみのある弁護士が遺言執行者になることは安心ですし、自分のために動いてくれるという期待もあるかと思います。弁護士としても、仕事が増えてお金になるので誘惑に駆られるところです。

しかし、遺言執行者は、相続人全員の代理人とみなされ(民法1015条)、全相続人との間で善管注意義務を負うことになるのですから、相談者だからと言って特別扱いはできません。また、遺言執行者には、相続財産目録作成義務があります(民法1011条)。遺産の内容を知られたくないという希望が関係者にあっても、それに従うことはできません。弁護士は、自らが遺言執行者に就任したら、関係者の希望にはそえない場合があることを、あらかじめ関係者に説明しておく必要があります。

さらに、遺言執行者でありながら、遺留分減殺請求に関する訴訟で一部相続人の訴訟代理人に就任した場合に、弁護士の品位を害するとして弁護士会から懲戒処分を受ける弁護士が散見されます。

遺言執行者を指定しなくても、認知、推定相続人の廃除、排除の取消しといった遺言執行者でなければ執行できない事項がなければ遺言内容の執行に特段の不便はありません。もし、指定する場合は、遺言の作成にあたって推定相続人の相談に応じた弁護士以外の弁護士を指定しておくというのが後々便利だと思います。

専ら相続税節税のための養子縁組も直ちに無効にならないとした最高裁平成29年1月31日判決について

 

最高裁第三小法廷は、養子縁組無効確認請求訴訟の上告審で、「専ら相続税の節税のために養子縁組をする場合であっても、直ちに当該養子縁組について民法802条1号にいう『当事者間に縁組をする意思がないとき』に当たるとすることはできない」として、「専ら」相続税節税のためになされた養子縁組も原則無効とならないことを明言しました。

これにより、遺産分割調停・審判の前提問題である相続人の確定段階でしばしば問題となる、養子縁組無効確認請求訴訟の審理が、請求棄却方向で迅速化することが予想されます。
また、よほどのことがない限り養子縁組無効確認の訴えは棄却されるということが浸透すれば、訴訟提起が差し控えられて、前提問題で調停がストップせず、遺産分割調停・審判が迅速化するという影響も予想されます。

相続対策の養子縁組は、長男夫婦の長男(=孫)と行われるケースが多く、事業を営んでいて財産のある人が、その事業と財産を長男の家系に承継させようとするのが典型的です。孫と養子縁組をしておけば、二次相続によって遺産が目減りすることを回避できるというメリットもあります。このようなことは、以前からよく行われていたことです。

この判決は、相続人1人あたり600万円の基礎控除が認められることによる相続税の節税対策という観点から報道されることが多いようです。しかし、バブル経済の時代と異なり、相続税法改正により、実子がいる場合に基礎控除が認められる養子は1人までに限定されています。このため、節税メリットといっても限定的です。

長男の子である孫との養子縁組が行われると、最も影響を受けるのが、被相続人の長男以外の兄弟姉妹です。相続人が増えることによって、法定相続分も遺留分も減少してしまうからです。それだけでなく、養子縁組により長男の取り分が事実上2倍になることも、兄弟姉妹の不公平感を煽ります。それゆえ、これまで、養子縁組無効確認訴訟が多数提起され、ただでさえ時間のかかる遺産分割手続きが大幅に遅延していたのです。

今後、遺産分割の前提問題としての養子縁組無効確認請求訴訟は減少傾向になるかもしれませんが、孫との養子縁組にあたっては、紛争回避策を講じておくことが必要だと思います。

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