本作の原作の元になっている、2017年の「地面師詐欺事件」は、不動産取引に携わる弁護士にも衝撃的な事件でした。このため、同事件を取材して書かれた森功著「地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺師集団」(講談社刊)と、これを参考に執筆された本作品の原作、新庄耕著「地面師たち」(集英社刊)は、それぞれ初版第一刷を読んで、入れ込んでおりました。

そのような作品について、縁あって、法律監修を担当することになりました。
ドラマのシナリオは、原作からさらにエンタメ色が強くなり、特に後半はクライムサスペンスという感じになっておりますが、不動産取引の現場感はよく表現されていると思います。

取引拒絶の内容証明郵便の本文及び封筒、売買契約書、契約決済の際にやりとりされる書面、対象地の建蔽率・容積率と建築可能な建物のボリューム、接見室のアクリル板の形状など、かなりマニアックなところまで、こだわりました。普段から不動産関係の仕事をしている人や弁護士でも、「本物だ」と感じてくれると思います。

法律物のドラマや映画は、映り込んだ書面に記載された用語や、話す専門用語が明らかに誤っていると、見ていて冷めてしまいます。しかし、リアルを追求しすぎると、ドラマがなくなり、逆に面白くなくなるということにも気づきました。いろいろな意味で、今回の創作活動のお手伝いはとても楽しく、勉強になりました。